熱っ!熱っ!いてっ!(織田信長、本能寺でのセリフ)
館長というハンドルネームで日夜ホームページ(以下、おもしろホムペ)を更新してるしがないただのデブですが、やはりこのようなしゃっちょこばって何か気の利いたことでも書こうかしら、と思っても普段は何か朝起きてウンコするぐらいの当たり前のモチベーションで、何も気にすることなくダラダラと書いてるわけで、いざ、何か人が喜んでくれる事を書く、と意識してしまうと、はて、何を書いたらいいやらええのん、なんて具合にうまいこと思い浮かばないわけです。
なので、今回は自分のサイトでも数年前に書いて忘れかけてた夏のエピソードなどを書いてお茶を濁してしまおうという作戦(以下「今回は自分のサイトでも数年前に書いたエピソードなどを書いてお茶を濁してしまおう作戦」)にいたしました。
NIKKI SONICというこの場では普段人間道場を読んでくださってる方よりも、そんなサイト読むかこのチンゲン菜!という方も多いでしょうから。初めて読むという方がほとんどでしょう。チンゲン菜って言わないで!と、いうわけであれは僕がまだ小学生だった頃、いつもの仲間たちと公園で遊んでおりました。公園には僕たちのほかに、ベンチで寝ているホームレスが1人。
最初のうちは僕らも普段どおりに遊んでいたのですが、遊びに飽きてしまったのか、僕らの中でもとりわけ頭のおかしいYという友人が、突然思いついたようにいつもの良からぬアイデアを浮かべた表情で僕らに耳打ちしました。
ちなみにこの、良からぬアイデアを浮かべた表情、というのは過去の例で言うと、書店でビニ本を前に女性の乳首を指さして「これに名前を付けよう」と提案し、干しぶどう、うめぼし、ピグモン、などと元気良く意見を述べ合って書店のおばちゃんに酷く叱られた時や、ラーメン屋の犬嫌いの息子に自分の犬をけしかけ「犬が怖かったらお前の家のラーメンをただで食わせろ」と脅してまんまとただでラーメンをご馳走になった時や、マンションの9階からオロナミンCのビンを通行人めがけて落下させた時の表情と同じです。
ちなみにその時の通行人というのはたまたま通りかかった僕でしたので、あと数センチ落下地点がずれていたら人間道場は無かった事になります。とんだ元気ハツラツです。直後に友人はそれを目撃した喫茶店のママさんに学校まで連行されました。
話は戻りますが、その時の友人の発言
「おい、あのホームレスに石投げてやろうよ」
非常に頭の悪い発言です、こんな馬鹿しかいない環境で育ったおかげで今でも僕の周りには出世したものは誰ひとりとしておりません。そんな危険な発令に対し、遊びに飽きていた僕らはまだ曖昧な道徳心を探りつつ、少し迷っていると、あろうことかすでに一人がホームレスに向かって拳大の石を投げているではありませんか。
石はホームレスに命中、驚いて飛び起きるホームレス。
額から血を滲ませながら激昂しました。
「グオラァ!」
やばい!逃げろ!
僕らは捕まったら本気で殺される、という恐怖心で後ろを一切振り向くことなく走り抜けました、全力で。
ここまでくればもう追ってこないだろう、皆でほっと胸を撫で下ろしていると、友達が何かに気づきました。
おい!1人いない!Yだ!
僕らの顔面は蒼白です。少年時代の認識ではホームレスという未知なる怪物に友人Yが捕まったのです。
どうしよう、いったいどうすればよいのか、僕らは本当に生きた心地がしませんでした。
もしかしたらYは今ごろ殺されているかもしれない、明日の新聞に出るかも知れない。
どうしよう、どうしたら。
しばらくのち、ひとりの「見に行こう」という意見に僕らは震えつつも立ち上がり、全員で意を決して様子を窺うことに。
公園の反対側にまわり、そっと公園内の様子を窺います。
僕らも見つかったらどうなってしまうのか、ただただ少年たちは恐怖に支配されておりました。
あっ!
僕らの中の誰かの声と同時に目に飛び込んで来た光景は。
Yがいました。
なんと、僕らの予想を裏切り、ホームレスと友達がベンチで身の上相談のような雰囲気で喋っているではありませんか、どうやら聞き手は僕の友達Yのほうです。
後から聞いた話によると、逃げられないと思った友達Yはとっさにホームレスに近づき「あいつらに石投げられたの?大丈夫?ひどい事するね」と取り入り、最終的には「どうしてホームレスなんてやってるの?大丈夫だよ、頑張ればきっと仕事も見つかるよ」と適当に励ましていたそうです。30分ぐらい身の上相談です。小さな体で大きなお世話様です。
恐怖のあまり、逃げた僕らは全員で、心の中でこう叫びました。
“いや、ちょっと待て、石投げたのはお前だろが”
そうです、あのホームレスに石を投げよう、と提案したのも友人Yならば、それを実行したのも彼自身なのです。
その後の詳細は覚えておりませんが、僕らは無事、家路につきました。
しかし、後日のこと。
僕らはまた同じ公園で野球をして楽しんでいると、公園の入り口から入ってくる大人がひとり、そう、あのホームレスです。
僕らの恐怖はまだ拭いきれておりませんでしたので、身構えつつ様子を窺っていると、そのホームレスはつかつかと友人Yのもとへ近づくではありませんか。
何事だろうか、もしかして、やはりYが犯人であることがバレたのかもしれない。
ドキドキする胸を押さえつつも、僕らは硬直して動けませんでした。
すると、友人Yを確認したホームレスは、おもむろにポケットに手を突っ込み、ガサゴソと何かを取り出して友人Yに手渡しました。
それはクシャクシャになった千円札1枚でした。
続けておじさんはこう言いました。
「あのな、おいら、坊やのおかげで頑張って仕事見つけたんだ、ありがとな、だからこうやってお金も稼げるようになった、だからお礼にこのお金、坊やに受け取って欲しいんだ」
なんということでしょう、彼はもうホームレスではありませんでした。
少年に励まされ、気持ちを変えて、仕事を一生懸命に探したのです。
友人Yは言いました「おじさん、良かったね、頑張りなよ」
一瞬にして下町の小汚い公園は教会前の緑一面の広場と化したのでした。
僕らはこの一部始終を見届けた証人となったのです。
よかったね、うん、よかったね。
僕らはその時全員で、心の中でこう叫びました。
“コラコラコラ、ですから石を投げたのはお前だろうが”
めでたしめでたし。
その後、その友人は立派に成人し、犬嫌いの息子のいるラーメン屋の常連として出前をとったり、入院中にお見舞いに来た彼女と、腕に点滴をしながら点滴のハンガーをガラガラと引いたままラブホテルに入る、などの「ちょっといい話」を残しています。