ケイコの発言:
こんばんは。
雄二の発言:
インドへ。
ケイコの発言:
はあ。
雄二の発言:
インドへ行きたいよ。
ケイコの発言:
カレーね。
雄二の発言:
よく分かったね。
ケイコの発言:
ほんとカレー好きだね。
雄二の発言:
生れ落ちたとき、羊水がちょっとカレーだったらしいからね。俺。
ケイコの発言:
ちょっとカレー。
雄二の発言:
なんつーか、今で言うスープカレー、みたいな。
ケイコの発言:
へえ。
雄二の発言:
まあ、うん。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
スパイスを極めにいってくるわ。
ケイコの発言:
会社員だよね?
雄二の発言:
会社員はスパイスを極めてはいけないのですか?
ケイコの発言:
別にいいけど。夏休みとれそうなの? 会社。
雄二の発言:
獲るよ。
ケイコの発言:
能動的だ。
雄二の発言:
やあ、ただ、仕事の都合で、取れるのが、ちょっと普通より遅い。
ケイコの発言:
いつくらい?
雄二の発言:
9月とか。
ケイコの発言:
かえっていいんじゃない?
雄二の発言:
なんで。
ケイコの発言:
インド行くんでしょ? 飛行機、8月より9月のほうが安いんじゃないの。
雄二の発言:
そんなに変わらないよ。
ケイコの発言:
そうなの。
雄二の発言:
あの、チケット安いのって、なんか怖いよね。
ケイコの発言:
どうして。
雄二の発言:
その分、いろんなところで手を抜かれてそうだ。
ケイコの発言:
どういう?
雄二の発言:
なんか、気持ち、低空、とか。
ケイコの発言:
えー。
雄二の発言:
気持ち、だけどね。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
羽根もね、気持ち、短い。
ケイコの発言:
駄目だよ、それは。
雄二の発言:
気持ち、だから。まあ飛べないってほどじゃないよね、ってくらいまでをカットしてある。
ケイコの発言:
うーん。
雄二の発言:
そこはちゃんとなんか専門家みたいなのが居て。「あー、あと、気持ち、切ってください」みたいな感じで指示だしてるから。
ケイコの発言:
わざわざ。
雄二の発言:
「気持ち、夏っぽく、切ってください」みたいな感じで、指示出してるから。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
あと、逆に、フライトアテンダントのスカート丈が、気持ち、長い。
ケイコの発言:
残念だね。
雄二の発言:
気持ち、だけどね。
ケイコの発言:
分かったよ。
雄二の発言:
インド着いても、飛行機、気持ち、遠くへ停まる。
ケイコの発言:
歩かなくちゃだ。
雄二の発言:
まあ、気持ち、だけどね。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
着いたら着いたで、安い分、気持ち、スケールダウンしてるのよ、インドが。
ケイコの発言:
どんな?
雄二の発言:
ガンジス川の水位が、気持ち、低い。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
まあ、低いっつーか、ぶっちゃけ、ちょろっちょろ。
ケイコの発言:
ちょろっちょろ。
雄二の発言:
舐められたもんですよ。安く来た奴にはこのくらいで十分だろ、とばかりに、ちょろっちょろ。
ケイコの発言:
まあ、うん。
雄二の発言:
コブラも、壷からほんのちょっとしか出ないし。
ケイコの発言:
ほんのちょっと。
雄二の発言:
ん? コ……ブラ? ぐらいしか出ない。
ケイコの発言:
まあ、うん。
雄二の発言:
サイババもさあ、なんかさあ、出すものがせこいの。ガムとか出す。
ケイコの発言:
ガム。
雄二の発言:
フィリックスガム。
ケイコの発言:
何でもいいけど。
雄二の発言:
カレーも、味ないし。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
ナンなんてぺらっぺらだし。向こうのインド人が透けて見える。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
掛け算もポロッポロ間違えるし。
ケイコの発言:
優秀なインド人が。
雄二の発言:
ポロッポロ。1の段から間違えるもの。
ケイコの発言:
間違えようがないよね、1の段。
雄二の発言:
タージ・マハールとか、良く見たらレゴだし。
ケイコの発言: それは逆に手間がかかってるんじゃないの?
雄二の発言:
まあ、まあ良く作ったよね。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
会議でさ、「安上がり旅行をする馬鹿どもには、レゴのタージ・マハールでも見せておけばいいんだよ!」「あはは! 賛成!」 みたいな感じで、その場で盛り上がっちゃって決まったんだけど、いざ作り始めたら、逆に大変だった、みたいな感じだと思うよ。
ケイコの発言:
うーん。
雄二の発言:
餃子パーティーやるから、来る人数確定させようとしたけど、なんか、一人一人に電話かけるの面倒くさいから10人分くらいつくっちゃお! ってなったんだけど、いざ作り始めたら、10人分つくるのすっごい大変で、こっちのほうが逆に面倒くさかったね、みたいな。
ケイコの発言:
何の話?
雄二の発言:
で、なんだ、地震で電車止まって結局ほとんど来れなくなっちゃって、餃子すっごい余るし。
ケイコの発言:
だから、何の話?
雄二の発言:
この前の地震の日にさ、餃子パーティーがあったんだよ。
ケイコの発言:
ああ、震度5だよね、確か。大丈夫だった?
雄二の発言:
やあ、先輩の家で、餃子作ってて、俺、はじめ、餃子つくりすぎてめまい起こしたと思った。
ケイコの発言:
そんなに作ったんだ。
雄二の発言:
うん。10人分だからね。
ケイコの発言:
家のほうは被害無かったの?
雄二の発言:
大変だったよ!
ケイコの発言:
え、何。
雄二の発言:
家帰ったらさ、お茶のペットボトルが倒れてた。
ケイコの発言:
あそう。
雄二の発言:
馬鹿! 大変なことだよ!
ケイコの発言:
何が。
雄二の発言:
俺さあ、毎日お茶のペットボトル買うじゃん。
ケイコの発言:
知らないけど。
雄二の発言:
買うの。
ケイコの発言:
そう。
雄二の発言:
でも、大抵、飲みきれないんだよ。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
結果として、飲みかけのペットボトルが溜まってくのね。部屋に。
ケイコの発言:
捨てなよ。
雄二の発言:
で、溜まってくんだけど、そうなってくると、どれが、飲めるやつか分かんなくなるのよ。うっかり、古いお茶を飲んで、おなかいたくなることもしばしば。
ケイコの発言:
だから、捨てなよ。
雄二の発言:
このままではお茶に殺されてしまう! 静岡県人なのに!
ケイコの発言:
捨てなよ。
雄二の発言:
でも、そこは、ホモ・サピエンスですよ。知恵を使うわけだ。最新のペットボトルは立てて、あとは寝かせておく。そうすれば、いつでも新鮮なお茶が飲める。やべえ。やべえよ俺システム!
ケイコの発言:
聞いてないでしょ、人の話。
雄二の発言:
で、その日帰ってきたらさあ、全部寝てんだよ。ペットボトルが。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
俺システム、崩壊。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
大地震の前では、人の知恵など無力である。そのことが、はっきりと分かったよ。
ケイコの発言:
うーん。
雄二の発言:
まあ。
ケイコの発言:
何の話だっけ。
雄二の発言:
インドだね。
ケイコの発言:
あ、ライババには気をつけてね。
雄二の発言:
何、ライババって。
ケイコの発言:
ググるといいよ。
雄二の発言:
わあー! 是非会いたい! 貴重な情報ありがとう。
ケイコの発言:
どういたしまして。
雄二の発言:
こういうの居るんだ。やっぱり。
ケイコの発言:
インドって、治安悪いのかな。
雄二の発言:
やあ、そこまで悪いってわけではないらしいけど。
ケイコの発言:
ところで、インドのおっかない人の見分け、つく?
雄二の発言:
どういうこと。
ケイコの発言:
みーんな同じ顔に見える気がする。
雄二の発言:
ああ。そういうことか。
ケイコの発言:
大丈夫なの?
雄二の発言:
ターバンの後ろから出てるヤン毛に注意すれば大丈夫だと思う。
ケイコの発言:
ヤン毛あるんだ。インドにも。
雄二の発言:
あと、自転車、わざわざサドル低くしてね。
ケイコの発言:
それ、ただの中学生の不良じゃん。
雄二の発言:
あと、あめーあめー言いながら、死ぬほど辛いカレー食うの。
ケイコの発言:
中学生だね。明らかに。
雄二の発言:
心配そうに見つめる友達に、「ぜんっぜん平気だわー、もっと辛くてもいけるわー」とか言ってんだけど、明らかに、泣きそうなのね。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
で、店員がまた全然気が利かない奴で、ホントにおいしいって言ってくれてると思って嬉しがっちゃって、「そうら、たくさん食え」みたいな感じで、せっかく減った皿にカレー足しちゃったりね。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
あ、中学校のとき、洋平って奴が居てさ。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
なんか、給食の納豆の薬味として葱が出たんだよ。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
で、給食係が配分間違って、葱が大量に余った。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
そしたら、洋平が、「葱うめーのに。もったいないなあ。俺全部食うわ」とか言い出して。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
この洋平って奴が、なんだろなー、なんか、すごい大人ぶるんだけど、彼の考える大人の定義っつーのがが数センチずれててさ。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
学校に栄養ドリンク持ってきたり、社会科見学の途中でスポーツ新聞買ったり、大人な自分を演出するんだけど、その彼の考える「大人」の定義のズレが、なんかムカつくんだよね。
ケイコの発言:
ああ、うん。
雄二の発言:
社会科見学の最中に、先生の目を盗んでまでしてスポーツ新聞読みたいはずが無い。そんなにスポーツが好きか。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
あ、そう、そんな洋平だから、「葱全部食う」発言も、「葱の味がわかる大人」みたいなさ、そんな演出だってのは、クラス中が気づいたわけよ。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
大人は、そんな葱の食べ方をしない。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
なんつーか、みんな腹たって、「お前ホントに全部食えよ」みたいな感じになってね。
ケイコの発言:
うん。
雄二の発言:
洋平も後に引けなくなって、「やったーヒュー!」とか言ってんだけど、明らかに、目が、泣きそうなの。
ケイコの発言:
かわいそうに。
雄二の発言:
大人は「ヒュー」とか言わない。
ケイコの発言:
まあ、うん。
雄二の発言:
結局さあ、「なんか歯が痛い」とか言って、早退していったよ。
ケイコの発言:
かわいそうに。
雄二の発言:
家で食う、とか言って、残りの葱を袋に詰めて帰った。
ケイコの発言:
絶対食べないね。
雄二の発言:
で、次の日、「焼却炉に給食の葱が捨ててあった事件」で全校集会が開かれる。
ケイコの発言:
わー。
雄二の発言:
中学生は本当に面白い。
ケイコの発言:
まあ。
雄二の発言:
高校生は、なんか、自分を見つめなおし始めちゃうから、面白さ半減するよね。
ケイコの発言:
ああ。
雄二の発言:
やっぱり中学生だよ。
ケイコの発言:
何の話だっけ。
雄二の発言:
インドだね。
ケイコの発言:
まあ、気をつけて行ってきなよ。
雄二の発言:
うん。あ、ケイコはどっか行かないの。
ケイコの発言:
伊豆行くよ。
雄二の発言:
クロちゃんは?
ケイコの発言:
日帰りだから、おいてくよ。犬嫌いな子居るし。
雄二の発言:
あそう。
ケイコの発言:
うん。ああ、もう寝る?
雄二の発言:
寝るか。
ケイコの発言:
うん。おやすみ。
雄二の発言:
おやすみ。