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裏モノJAPANと対決する

NIKKI SONIC2005をお楽しみの皆さんこんにちは!インターネット上で文章を発表している多数のサイト管理人様が渾身の文章をアップロードする夏の一大イベントNIKKI SONIC!なぜか今年も呼ばれてしまったので僭越ながら文章を書かせていただきます、Numeriというサイトのpatoと申します。

さてさて、最近ではインターネット上の文章というのが特に注目を集めておりまして、こういったNIKKI SONIC的企画もそうですが、それ以上にインターネットを飛び出した部分でネット文章が注目を集める機会が増えているように思われます。

人気サイトの文章が書籍化されて全国の本屋に並んだり、はたまたそれが死ぬほど売れたり、一流雑誌にサイト管理人さんが連載を持ったりする、そんな時代に突入したように感じるのです。

インターネット掲示板上の書き込みが書籍化されて映画やドラマ、舞台にもなった「電車男」がその代表格で、それに続けと言わんばかりに数多くのネット上の文章が書籍化されて出版されています。ホント、本屋に行って新刊を見るとそういう本が山ほど積まれているから驚きます。

先日のことでした。近所の本屋さんに注文していた「日本の道100選」という書籍が入荷したとの連絡を受けたので、僕は意気揚々と本屋に向かいました。レジでお目当ての本を購入、満面の笑みで帰ろうと振り向いたその時でした。

レジの前には「ろじっくぱらだいす」という本が、一番注目されるであろう場所にデーンと陳列されていたのです。言わずと知れた人気サイト「ろじっくぱらだいす」の書籍、それが大きな本屋の一番注目度の高いコーナーに置いてありました。風林火山と言わんばかりに置いてありました。

「あー!ろじぱらの本だ!」

そこにですね、頭の悪そうな声を響かせてカップルがやってまいったのです。女の方は手にはイカリングみたいな白いミサンガっぽいのをはめ、女子プロレスラー北斗晶を女っぽくしたような顔してました。で、男のほうは岩海苔みたいな顔してた。そのカップルが、「ろじっくぱらだいす」を手にとって、ペラペラめくりながら言うわけですよ。

「あーん、ろじぱら超好き、超買いたい」

「俺も超好き、買っちゃおうか」

とかなんとかクネクネといちゃついた後に、物凄い勢いで買っていかれたのです。多分、本を買って帰った後は、二人で本を読み、そのうち気分が盛り上がってきちゃって同棲している部屋でマグアイアのようにまぐわって変な棒出したり入れたり、岩海苔みたいな彼氏が「ろじぱらの1UPキノコもいいけど俺のキノコもどうだい?」とか言っちゃったりして大ハッスル、なんUPしたんだか分からない状態になるのだろうと思いますが、これ以上書くと怒られそうなのでカット。で、僕はその光景を見て、「ついに時代はここまで来たのか!」と頭をガツーンと殴れた感覚に陥ったのです。

一昔前は、それこそ「ネット」や「パソコン」ってのは一般的でなくて奇異なものだと思われがちでした。パソコンやってるというだけでマニアだとか根暗だとか性犯罪予備軍だとか思われ、NIFTY-SERVEとかそれっぽい単語を口にするだけで石を投げられ、悪辣な魔女狩りにあったものです。

それが今やアイドルがブログを開設すれば会社社長もブログを開設する、ネットの話題がテレビでも報じられ、犯罪者が捕まるとすぐに犯罪者が運営していたサイトが晒される。そいでもって眞鍋かをりがエラいことになってホリエモンも選挙に出る、そう、そんな時代なのです。

ネットが一般化した現在の状況、されどもまだまだ限定された狭い範囲の世界であることに変わりない昨今、その中にあって秀逸なコンテンツを書籍化して広く世間に知らしめるのは至極当然な流れなのです。

僕はまあ、ネットで書いてる文章が出版社の目に留まって書籍化、印税でゲハゲハすることが完成形というか最終系だとは思いませんが、多くの人が気軽に文章を書いて発表することができる現状、その中でも秀逸なものは書籍化される可能性がる、というのは大変夢のあることだと思います。

ということで、これからもますますネット発の文章が書籍化されていき、本屋で目にする機会が多くなることだろうと思いますが、今日はそれに伴って増加するかもしれない問題についてちょろっと短めに書かせていただきます。

端的に説明すると、僕の運営するサイト、Numeriの文章が雑誌に載った!やった!でもおかしい!僕は送った覚えがない!何で載ってるんだろう。おい、こりゃ、ウチの文章の無断コピーじゃないか!キー!というお話です。それではどうぞ。

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あれは忘れもしない昨年の11月、下旬ごろのことでした。

凍てつくばかりの寒空の中、僕は大阪の町を徘徊していた。道頓堀をフラフラし、あまりの寒さに100円玉で買える温もり缶コーヒーで指先を暖めていたのです。しかし、あまりの寒さにその感覚が麻痺、鼻水もジュルジュルでてきて「こりゃやばい」と思ったその時、一軒のマンガ喫茶を発見したのです。

夜も深まり、電車もなければもう眠い、かといってその辺で寝たら確実に凍死する、そんな時に発見したマンガ喫茶は救いのオアシス以上のものでした。

暖を、暖を取らねばならん。息も絶え絶えにマンガ喫茶の門をくぐりカウンターでチェックイン、これでやっと暖を取れる、おまけにふかふかのソファーで眠れるじゃないか、と自分に与えられた個室ブースに向かったその時でした。

「裏モノJAPAN 1月号」

この雑誌が目に留まったのです。

僕がまだ若かりし頃、それこそ合コンに燃えていて、注目を浴びようとわざと遅れて参加したりとかしたのに何も効果がなく、ブスすらもゲットできなかった青き時代、大学生の時分に読んでいた雑誌でした。

この雑誌は、まあ、いわゆるアンダーグラウンド的な雑誌で、世の中の裏側だとかエロス、詐欺、暴力、ドラッグ、などが満ち溢れているパンドラの箱的雑誌でした。デヴィ夫人とかが読んだら物凄いしかめっ面して「んまっ」とか言いそうな雑誌といえば分かりやすいでしょうか。

覚えている範囲で件の雑誌記事の代表例を挙げますと、悩める女性の相談に乗る携帯サイトを開設したら女性から悩ましいメールが沢山来た。相談に乗ってあげ、悩みを解決してあげると女性は急に濡れた瞳になり、頬を紅潮させながら筆者にしなだれかかってきた。あとはもうセックス三昧。悩み相談に乗ってセックス三昧ウハウハ!入れ食いだぜ!といった、おいおいホントかよ、と言いたくなるような調子の記事がてんこ盛りな雑誌でした。

この雑誌、聡明な方ならお気づきでしょうが、かなりマイナーな雑誌です。都市部ではどうだか知りませんが、地方ではほとんど本屋に置いてあるのを目にしない、それこそ注文とかして取り寄せねばならないマイナー誌なのです。あと、値段が結構高い。

大学生時代の熱き血潮が滾る頃は必死で読んでいた裏モノJAPANも、そんな入手の難しさや値段の高さなどもあって購入することが少なくなり、次第に疎遠になっていったのでした。

読まなくなって早数年。その間まったく姿を見なかった裏モノJAPANの最新号が僕の目の前にある。それも、何の気なしに寒さを凌ぐためだけに飛び込んだマンガ喫茶で出会ってしまった。何か妙な運命的なものを感じ取った僕は、懐かしいという懐古的思想とともに、僕はこれを読まねばならん、という強烈な使命感に襲われ、件の裏モノJAPANを手にとってブースへと向かったのでした。

数年ぶりに読む裏モノJAPANは相変わらず裏モノJAPANで、怪しげな記事がテンコ盛り、年月を経ても変わらないものって素敵だよね、そう思いながら読み進めたのでした。

その最新号の特集記事は「最新詐欺の手口暴露!」と銘打たれたもので、より一層僕の興味をそそりました。当時大流行していた架空請求詐欺やらオレオレ詐欺やら、日々刻々と姿形を変える詐欺の最新手口が臨場感溢れる体験レポートという形で特集されていたのでした。

僕は自分のサイトで架空請求業者だとか債権回収業者、その他の詐欺などと狂おしく戦い、その様子を文章にして発表しているものですから、当然ながらそういった記事が気になって気になって仕方ないわけなんですよ。あわよくば何かの参考にして新しい境地にチャレンジしようとか思うじゃないですか、もう貪るように読みましたよ。

中でも興味を惹いたのが、数ある体験談の中でも最もパンチの効いたキャッチコピーのついた記事、「ニセ援交の示談金」という記事でした。

これはまあ、なんか筆者が援助交際、いわゆる売春というか金で生娘の体を買うといった行為を致したところ、その後に女性サイド、確か女性の親だったか依頼された弁護士だったかが「訴える!」と言ってきて訴えられたくなかったらから示談金を払え!みたいな請求が来るといった手口のもので、請求された側も援助交際という反社会的行為をしたという負い目から警察に泣きつくわけにもいかない、仕方ないから請求額を払うしかない、みたいな手口のようです。

記事では、克明にその詐欺が展開していく様子が臨場感溢れる文章で描かれ、僕もコーラを持つ手をプルプル震わせながら、いったいこの先はどうなるんだろう、と先の読めない展開に胸をときめかせたのでした。

そういえば、昔、僕が債権回収業者と戦った時もこんな感じだったなあ、記事中の文章を読みながらふと昔のことを思い出しました。僕のサイトの「債権回収業者と対決する」あたりを読んでもらうと分かると思うのですが、詐欺的に金を要求されたことに対して僕は徹底的に対抗、激しいバトルを展開した経験があるのです。

僕がやったのは、ツーショットダイヤルというアダルティーでエロスな有料電話の使用料と延滞料を巡った戦い。記事中の筆者は援助交際の示談金を巡った戦い。形は違えど詐欺的に金を請求されているという点では同じです。

僕はその時は理論的に徹底的に反論し、エロい番組を使ったという後ろめたさを完全に捨てて開き直りました。で、それでも相手が折れないので少し小バカにしたような感じで応戦しました。そしたら、埒が明かないと判断した業者側が調べていた僕の実家に電話、ウチの親父相手に「息子さんがエロい番組を使って利用料を払ってくれない」と請求したのです。

しかしながら、少々というか大々的に頭が狂ってるウチの親父は、その請求をクレイジーに棄却。僕以上に業者を小バカにした感じであしらったのです。

実の親父まで巻き込んだ壮大なバトル。今思い出してもあれは凄まじいバトルだったぜ、と思うのですが、昔の思い出に浸っている場合ではありません。記事中の筆者がいかにしてこの詐欺に応戦するのか、そこが注目なのです。その対応いかんによっては今後の自分の戦い方の参考になるかもしれませんしね。

ということで読み進めていくと、どうやら筆者も僕と同じような対応を取ったらしく同じような展開になっていきます。どこかで見たような文章が並びますが、まあ気にせず読み進めていきます。

世の中ってのは広いようで狭いな、ここにも同じような体験をトレースした人がいるなんて、そう思いながら読み進めました。

しかしながら、進んでいくとさらに雲行きが怪しいことに。展開が同じ、それどころかセリフの一つ一つまでもが僕がサイトに書いた文章と変わりなく、細部が少し変わってるものの同じように掲載されているのです。

こ、こいつは凄い!世の中には僕と同じ体験をした人がいるのか!いや、この人だけが同じ体験なわけじゃない!この人のお父さんも同じような請求を受け、ウチのキチガイ親父と同じセリフで対応しているじゃないか!世の中にはなんと数奇な巡り合わせがあるものよのう。これはもう偶然の一致とかじゃない、運命だ!そういう星の下に生まれたのじゃ!

などと思ったのでした。ってそんなわけないだろバカ!これ、まんま僕の文章じゃないか、それもコピペしてそのまま細部を変えたレベルのコピーじゃないか。どうなってるんだ、これは!とまあ、おかしいやら恥ずかしいやらで一人マンガ喫茶のブースで大笑いしていました。

考えてもみてください。何の気なしに、それこそあまりに寒いので暖を取ろうと偶然に入ったマンガ喫茶でですよ、しかも偶然目に付いた、昔愛読していた裏モノJAPANの最新号を手に取った。そこで何気なくページをめくったら思いっきり自分が書いた文章が垂れ流されてくるんですよ。その衝撃たるや、緊縛物のSM写真集を買ったら、自分の母ちゃんが縛られて吊るされていて、その傍らで仮面舞踏会みたいなマスクをつけた親父が微笑んでいる写真を見つけた、くらいのインパクトですよ、これは。これで笑わずして何で笑うっていうんだ。その辺の下手なギャグマンガより笑えるわ。

というわけで、何故か超絶なマイナー誌に掲載されてしまった僕の文章を読み返し、さらにはインターネットもできるマンガ喫茶でしたので、自分のサイトを開いて何度も確認、その度にあまりのコピペっぷりに「ぶははははは」と大笑いしながら大阪の夜は更けていったのでした。

数日後。大阪から地元に帰った僕は焦っていました。裏モノJAPANに何らかのアクションを起こさねばならない、そういった義務めいた思いに駆られていたのです。

僕はまあ、自分の書いた文章に何の価値も見出せず、自サイトNumeriに置いてある文章はゴミだと思っていますので、別にパクられようがコピーされようが何とも思わず、むしろこんなのでいいなら持っていけばいいんじゃないのと思ってるくらいですので、裏モノJAPANに対して「許せない!」という思いはないのですが、せっかく裏モノJAPANという一流の雑誌がパクってくれたのです。何のアクションも起こさないのはもったいなさすぎる。なにかしなくては、と焦っていたのです。

取り急ぎ、電話を手にとって裏モノJAPANの出版元である鉄人社に電話。受付のお姉ちゃんを経て編集部に繋いでもらいます。

「お電話変わりました、担当の○○です」

「あのー、今月号の裏モノJAPANの、ニセ援交の示談金って記事について問い合わせたいのですが・・・」

「あー、はい、ニセ援交の記事ですね、担当の者に変わります」

電話口で鳴り響く保留音を聞きつつ、僕はあることに気がついたのです。一体全体、僕は編集部にまで電話かけて何やってるんだろうか、何がしたいのだろうか、と。まさか、編集部に電話かけて「テメーら、俺の文章パクったろ!」とやるのだろうか。いかんいかん、それじゃあ頭がおかしい人、隔離病棟一歩手前の人じゃないか。

いかんいかん、断じていかん。そんなことをしてしまってはいかん。けれども、ここで電話をたたっ切るわけにもいかんし、何のアクションも起こさないのももったいない。一体どうしたらいいんだ。焦った僕が導き出した答えは、酷く卑劣でどんな方法よりも恥ずかしい方法でした。

善意のNumeriファンのフリをする。

これがもう、今思い出しても顔から火が出るくらい恥ずかしい。自分で自分のサイトのファンのふりして抗議電話をかける、どれだけ恥ずかしくて卑劣なことか。そもそも自分のサイトにファンがいるかも怪しい。もう、寝る前に思い出しては「うわー!」と意味もなく叫んでしまう、それくらいに恥ずかしい。けれどももう、引き返すことは許されない、このままいくしかないんだ。

「はい、お電話変わりました、担当のXXです」

「あのー、今月号のニセ援交の示談金って記事ありますよね」

「はい、ありますね」

「それの文章がですね、Numeriっていうホームページの文章に似てると思うんですよ」

「ぬ・・・ぬめり・・・ですか?」

「ええ、ぬめり、です」

「なるほど、そのサイトの記事と、本誌の記事が非常に似ているというわけですね」

「ええ。似てるとか言うレベルじゃないです。ホント、許せないっすよ!僕は死ぬほどNumeriが好きなんです、だからマジ許せないっすよ!」

おいおい、自分で自分のサイトを好きとか言ってるよ、もう死ぬほど恥ずかしい。というか、むしろ腹を切って死ぬべきだ。

「そんなに似てるんですね」

「ええ、なんでしたらそちらでも確認してみてください、マジ許せないっすよ!」

「今、手元にインターネットができる環境がないので確認はできませんが、後で確認をして後日改めて結果を報告するというのはいかがでしょうか?」

「マジ許せないっす!」

とまあ、曲がりなりにも雑誌の編集部にネット環境がないってのが良く分かりませんが、こんな感じでニセ援交記事担当者とニセNumeriファンのファーストインプレッションは終了。電話を切った後に受話器を握り締めて「やっちまったー」とか後悔したのですが、やってしまったことは仕方ありません、気を取り直して先に進みます。

ここからどういった展開になるのか知らないけど見事に戦いきってやる!さあ来い!裏モノJAPAN!と意気込んだその刹那でした。僕のメールボックスに噴飯物のメールがインしてきたのです。

「はじめまして、鉄人社のXXです」

で始まるメール。そう、裏モノJAPANの編集部からメールが届いたのです。もちろん、ニセNumeriファンにではなく、Numeriの管理人である僕のほうに。その内容をまんまコピペするのは多方面で問題があるかもしれませんので載せませんが、端的に要約すると、

「裏モノJAPANに掲載された「ニセ援交の示談金」という記事が、Numeri読者さんからの指摘でNumeriからの盗用であることが発覚した。これはフリーライターが持ってきた原稿だが、それを確認もせずにそのまま掲載してしまった担当者である自分に責任がある。会社として、個人として、可能な限り誠意ある対応をさせていただくつもりだ」

というもの。つまりまあ、Numeriファンからの指摘で文章の盗用が発覚した、大変申し訳ないってな感じの謝罪のようです。何度も言うようですが、その指摘したNumeriファンというのは他でもない僕自身、クソッ、死ぬほど恥ずかしいじゃないか。あんなことするんじゃなかった。これじゃあ僕のパントマイムみたいじゃないか。

前述したとおり、僕は文章を持っていかれたからどうこうという訳ではなく、せっかく一流誌がパクってくれたんだから何かしなきゃ!的な気持ちで動いたものですから、正直、この謝罪メールはやられた、と思いましたよ。何かしようと思ってたら先に向こうから先手を打ってきたのですから。満員電車の中で痴漢しようとしたら逆に痴漢されたみたいなものです。いや、それはちょっと違う。

でもまあ、ほとんど何もしないうちに完結してるんですから物凄い拍子抜け。やったことといえばファンのふりして電話して、僕の心に恥ずかしさという決して癒えることのない十字架を背負わせただけ。

もうこれ以上はどうしようもない。向こうが謝っておられるのに僕がハッスルしてはただの頭のネジが飛んじゃってる人ですから、こちらも至極普通に返事を返しましたよ。

「気にしなくていいですよ、別に謝罪とか誠意とかいりませんし、そうやって認めて謝ってくれたのなら十分です」とか「盗んだ人の立場が追い込まれるのだけは嫌なので、それだけはやめてください」とか書いて返信しました。すごい太っ腹。ファンのふりして「許せないっすよ!」とか電話した人間の所業とは思えない。

もうこの話はこれでおしまい、ただ、僕も今回の経緯を読者に説明するつもりだったので、「該当記事をスキャンしてアップする許可と、やり取りのメールの転載許可、あと何を書かれても受け入れるという覚悟だけはお願いします」とだけ、書き添えておきました。 あとは、許可さえ得れれば問題の記事をサイトにアップして事の経緯を説明しておしまい。そんなありがちな展開になるのは容易に想像できました。強硬な対応に出た鉄人社にブチギレた僕が裏モノJAPAN最新号の記事を全部手打ちでNumeriに無断転載、骨肉の仁義なき争いになると予想していた僕は、安心したやら拍子抜けしたやら、そんな複雑な気持ちになったのです。

しかしながら、神はそんな穏やかな展開を許さなかった。

待てど暮らせど鉄人社からの返事が来ない。裏モノJAPANの該当記事とメールの内容の転載許可を申請したメールの返事が来ない。1週間待っても返事のカケラすらこない絶賛放置プレイ。おいおい、掲載許可のメールくらいすぐにくれよ、都合が悪いなら悪いで転載不可のメールをくれよ、こっちが動きが取れないじゃないか、と多少の苛立ちを募らせていました。

それからしばらくして、鉄人社からメールが来たのですが、それはパソコン画面に表示された活字であるのに急いで書いた走り書きのような文章で、

「いまちょっとゴタゴタしてるので、話がまとまったらすぐにでも正式な返事をします」

みたいな返事が来ました。ゴタゴタしてるのは仕方ないのですが、転載許可か不許可のメールくらいならすぐに出せるんじゃないか、と思うのですが、僕だってファンのふりして「許せないっすよ!」とかやった弱みがあります、あまり強く言えないので、向こうが待てというなら待とう、という気持ち、本陣で構える戦国武将みたいな感じでデーンと待ちましたよ。

それから約1ヶ月、絶賛放置プレイ。

もう全くもって返事がないのです。これでもかというくらい返事がないのです。話がまとまったらすぐにでも返事します。から早一ヶ月、月日の経つのは早いものですね、季節の野菜を眺めた時、カレンダーをめくる時、なんだか寂しさすら感じます。何がまとまったらなのか全然分かりませんが、1ヶ月もまとまらなかったのでしょうか。否、これは忘れ去られているに違いない。

せっかく穏やかな展開になりそうだったのに、なんで返事をくれないんだ。「転載OKです」「転載はちょっと勘弁」それのどっちかでいいのに、何で返事をくれないんだ。僕と鉄人社の熱きやり取り、ファンのふりして電話したり仲良くメールしたり、それすらも忘れてしまったっていうのかよ。そんなのじゃなかったろ、俺らの関係は。もっと深くて濃いものじゃなかったのかよ。

もう僕の事などは鉄人社では忘却の彼方に忘れ去られていると判断、業を煮やした僕は最終手段、直談判に乗り出したのでした。

実は、最初の方のメールだったかに、「何かありましたら直接連絡ください、本当にいつでも大丈夫ですので連絡ください」とか何とか書かれていて、担当者さんの携帯電話の番号が書かれていたのです。

なんだ、それじゃあ直接電話すればいいじゃない。メールなんかでチマチマ回りくどいことしてないでさ、直接転載可なのか否なのか返事を聞けばいいじゃない、もしかして直接交渉するのビビってるの?と思う方が多数に上るかもしれません。

でも、考えてみてください。僕はですね、このやり取りの最初に熱烈なNumeriファンのふりして「許せないっす!」とかやってるんですよ。重い十字架を背負って生きていくんですよ。電話で直接交渉なんかしたらモロバレじゃないですか。担当者さんに「こいつ、以前にファンのふりして電話してきたやつじゃないか、恥ずかしいやつ」とか後ろ指さされるんですよ。そんなの耐えられない。

でもまあ、もう僕とのメール交換など忘れ去られた現在、交渉する手段は直談判しかありえません。さすがにバレないように最善の手段を講じ、意を決して担当者の携帯に電話をかけましたよ。

「本当にいつでも大丈夫ですので連絡ください」という言葉を真に受けて、とんでもない時間に電話しました。具体的に言うと、元旦の深夜3時くらい。つまりまあ、2005年になって3時間くらい経った時に電話しました。我ながら凄い日時、凄い時間に電話したと思う。

「はい、もしもし」

電話に出たのは紛れもなく最初の電話で話した担当者さんでした。突然の電話に驚きが隠せないといった様子。

「あ、夜分にすみません。Numeriのpatoと申すものですが、実はメールの件で連絡したんですけど・・・」

「あっ・・・はいっ、はい、patoさんですね。はじめまして。この度は・・・」

微妙に「はじめまして」じゃないんだけどな!と心の中で思いつつ、そっとシークレットオブマイハート。さらりと本題に入ります。

「メールしたと思うのですけど、記事の転載許可とメールの転載許可、それに対する回答が全くないので電話しました。こちらとしても動きが取れなくて困っているので・・・」

と直球をズドンと彼の胸元に投げ込みましたところ。

「ああ、ええ、まあ、記事もメールも転載は大丈夫です。ただまあ、こちらの編集部のほうでゴタゴタ揉めておりまして・・・」

と、なんとも歯切れの悪い回答。転載はOKだけど編集部で揉めてる?一体何を揉めてるんだ?謎は深まるばかりです。

「いやまあ、僕は今回の事の顛末をサイト上に書ければ良いわけで・・・」

「書くのはかまわないんですが、その・・・」

と、なんだか会話が噛み合わない。

「実はですね、盗用した本人が盗用を認めないんですよ。あ、盗用したのは私の個人的知り合いのフリーライターなんですけど、盗用の事実を認めて原稿料を返せ、と家まで訪問したのですが・・・認めないんですよ。そんなの知らん、の一点張りで・・・」

「はあ」

「盗用は確実にあったと思うんですよ。あえほど酷似してるんですから。ですから、当社としても本人からpatoさんに謝罪させ、彼に払った原稿料をpatoさんにお渡ししようと・・・」

「いや、原稿料なんていりません。本人からの謝罪もいりません。最初から言ってるじゃないですか、僕は転載の許可が欲しいって。書ければいいんですから、書ければ」

「いえまあ、その。書くって言うのがどうかというか、なんとかいうか」

とまあ、本気で歯切れが悪い。何を企んでるんだ裏モノJAPANは。

「書くな、っていうんですか?」

「いえ、書くなではありません。できれば書かないほうがいい、ということです」

今回の顛末のことを「書くな」ではなくて「書かないほうがいい」と強硬に主張する担当者。何のことやらさっぱりわかりません。

「patoさんって、普通の民間人の方ですよね?」

「ええ、バリバリ民間人ですが、それが何か?」

「実はですね・・・今回の盗用なんですが・・・」

ついに重い口を開いた担当者。そして明かされる盗用の真実。彼の口から出た言葉は一体何なのか。と、非常にスリリングな展開になったところで、あまりに長すぎるのでこの続きは近日発売予定「ぬめり2-チャレンジ編-」という自費出版の本で!

ぬめり2 ぬめり2
定価1000円
近日発売予定

Numeriで好評を博している「対決シリーズ」「ひとりDEシリーズ」などチャレンジ物のお話を再編集して掲載した自費出版本。他にも新作「ボッタクリ風俗と対決する」や「懸賞商法と対決する」「マルチ商法をやってみた」「ひとりDEディズニーシー」「ひとりDE USJ」など新作を多数収録。現在絶賛執筆中!みんな買ってね!どんどん買ってね!女房を質に入れて買ってね!

 

 

とまあ、こうやって話を途中で切って本の宣伝をしたりなんかすると昨年の二の舞、方々で叩きのめされ、「分かってんだろうな、2度目はないぞ、2度目は!」と釘を刺された意味が全くないってもので、一抹の不安を覚えます。それどころか2年連続で宣伝で終わりともなると、今年こそは家に「やーい、ロボット超人」などと石を投げ込まれかねません。ということで大人しく続きを書きます。

「実はですね・・・今回の盗用なんですが・・・」

歯切れの悪い重い口をついに開いた担当者。その口からは驚愕の真実が。

「盗用したのは、稲○会系暴力団の構成員、H田という男です

稲○会系きたーーーー!暴力団きたーーーー!H田きたーーー!

ってなもんですよ。いやいや、別にH田は人の名前で凄みでもなんでもなかった。驚くポイントじゃなかった。

つまりあれですよ。盗用したのは暴力団員だ。あまり騒ぎ立てるのは得策じゃないんじゃないかい?あんたただの民間人だろ、どうなるかなあ、僕は知らないよーっていうニュアンスみたいです。まあ、早い話が脅しですわな。やるじゃねえか、裏モノJAPAN。

そりゃあね、僕だって強がっていても暴力団は怖いですよ。暴力団って聞いただけで震え上がるし、お漏らしとかしそうになりますよ。暴力団ってそれほど怖いものなんです。もう足がすくんだね、すくみ上がって撤退したい気分に駆られた。下手したらアナルをやられるって思った。もうやめやめ、暴力団が出てきた時点でやめやめ、と思ったのですが、

「それは脅しと受け取っても宜しいでのしょうか?」

とか電話口で言ってました。バカ、何強がってるんだ、俺バカ、超バカ。強がってもどうしようもないだろう、あんま跳ねっかえってると、暴力団構成員に亡き者にされるぞ。早く謝って撤退しちゃえ!

「いえ、脅しではないです。ただ、patoさんのためにならないというのをですね」

「世間ではそういった文言を脅しって言うんですよ」

「あーもう、はい、じゃあ脅しです。脅しでいいです」

「そういうことですね、では、僕は脅しに負けず書きます。書けます。書ききります。怖くたって書くんです、ぶひいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

という、なんだか訳の分からないキチガイっぽいことを宣言し、双方で逆ギレしつつ、全く歩み寄れないまま電話は終了したのでした。自分の頭の配線が切れたのかと思った。で、一度はお蔵入りしたものの、こうしてここに事の顛末を書いているというわけですね。

でまあ、その後は、今度はNumeriファンのフリをせず真っ当に編集部に電話を掛けて編集長と直談判。やけに人格者っぽい編集長さんと話しこみまして、謝罪はいらないって言ってるのに「後日、正式な謝罪を致します」というところで落ち着きました。まあ、僕にはしてはかなり大人な終わり方に落ち着いたような気がします。やっぱ暴力団が怖かったからだろうね。

ということで、一番気になった部分、本当に暴力団構成員が盗用したのか、あれは僕を大人しくさせるための脅しで、嘘だったんじゃないのか、というか嘘だよね、暴力団員が盗作とかありえないよ、嘘だよね、といったところを

「あのー、編集長さん、暴力団って部分、あれはガチなんですか?」

と尋ねましたところ、

ガチです

という力強いお答え。頼もしいお答え。頼もしすぎて泣けてくる。

そんなこんなで、一件落着、電話を切ろうとしたのですが、編集長さんが、

「patoさん、文章書くの得意なんですね、いやー、素晴らしい。どうです?ウチで1本書いてみませんか?」

とか、歯が浮きすぎてボロボロ落ちそうなお世辞と共に豪胆なセリフを吐くじゃないですか。おいおい、たった2秒前まで文章の盗用を巡って対立していた僕らじゃないか。それになのに原稿執筆を依頼するか?フツーするか?と思うのですが、その心意気や良し、

「喜んで」

などと返事したのでした。河原で殴りあった後の「お前やるな」「お前こそ」「一時休戦だ!」みたいな感じでなんかいいじゃないですか。すごくいいじゃないですか。

でまあ、Numeriでボツになった日記でも送っておけばいいかー、などと軽く考えていたのですが、後日に向こうから指定してきた執筆テーマは、「マイナスイオン製品に文句をつける感じで書いてください」という驚きのもの。なんだ、その局地的過ぎるお題は。こんなもん、ミリオネアの最後の問題より難しいわ。

ぶっちゃけると、僕はマイナスイオン空気洗浄器とか使ったことなんてなくて、マイナスイオンに対して何ら不満がなく、文句も糞もないのですが、それでも引き受けたからには書かねばならず、電化製品メーカーのお客様センターみたいな場所に電話して

「あのー、マイナスイオンって本当に健康にいいんですか?」

「僕はそう思えないんですけど」

「根拠はあるんですか」

と、頭の悪いクレーマーのように各メーカーに押し問答を続ける毎日。マイナスイオンブレスレッドとか怪しげな商品を売ってるところでは怒鳴られたりしました。マイナスイオンが健康にいいのか悪いのか知らないけど、こっちの調査は確実に健康に悪い。

そんな必死の思いを経て入稿した原稿が、裏モノJAPANの3月号に載り、世界広しといえども盗用作された雑誌に原稿を書いたのは僕だけかもしれないと思ったのですが、編集部の手直しが死ぬほど入っていて全くの別物に成り果ててました。ありゃ僕の文章じゃない。僕が書いた文章で残ってた部分なんて「ライター/pato」の部分くらい。裏モノJAPANに対する皮肉とか忍ばせた部分なんてバッサリとカットされてた。

そんなこんなで、長々と書いてまいりましたが、これからネット発の文章が注目度を増していく中、こういった事例は急増していくかもしれません。ウチのようなクソ文章を持っていっても何ら特にはなりませんが、優良なサイトのコンテンツは常に危険に晒されていると考えるべきです。

残念なことに、もし貴方の文章が雑誌などの書籍に盗用され、それが発覚した場合、僕から伝えることができる注意点は以下の3つです。

1.我慢できないからといって、自分のサイトのファンになりすまして編集部に電話をかけない
→あとで恥かきます

2.暴力団の名前が出てきたら撤退も辞さない
→命あってのものです

3.豪胆な編集長に原稿執筆依頼をされても受けない
→泣きながらマイナスイオンに文句つけることになります

ということで、以上を守って楽しい抗議ライフを満喫しましょう。というお話でした。

そうそう、いらないって言ってるのに「後日、正式に謝罪します」と言い切った豪胆な編集長、半年以上経った今でも音沙汰がないのはどうしてなのでしょうか。自分で謝罪はいらないと言ったものの、あれだけ念を押されて何もないと不気味になってきます。

かといって、「いらない」といった僕が編集部に「謝罪はまだか」とか電話かけるのも変な話ですので、ここはまた一丁、熱烈なNumeriファンになりすまして「許せないっすよー」と電話かけてみたいと思います。